ブロガーだからこそお勧めできる文章術の本―話しは5行でまとめなさい 横江公美


「読むのは好きだが書くのは苦手」という自称書評ブロガーの私だが、この悩みに賛同される方も多いのではなかろうか。本書は、ちょっとした工夫で書くことが苦手でなくなる、文章を書く必要がある全ての人におすすめのスゴ本である。それは、単純な仕掛けであり、誰にでも簡単にできることだから。

目次
プロローグ
ステップ1 基本の5行を書く
ステップ2 5段落エッセイはわかりやすい
ステップ3 脳内熟成を導く5段落エッセイ・トレーニン
ステップ4 書き出しは、「仮」で書く
ステップ5 「1人ディベート」で論理を構築する
ステップ6 ストーリーを入れる
ステップ7 文章の最終チェック法
ファイナル・ステップ 脳内環境を整える

タイトルにある「5行」とは一つの例えとして捉えればよい。「4行日記」というのが一時期はやったが、こちらの「5行」はあくまでも骨組みとしての「5行」であり、何でもかんでも「5行」でまとめろという話ではない。もちろんTwitterのように、「140文字」制限もない。
基本形は「サンドイッチ」にある。

サンドイッチ型の基本
1 パン つかみ 言いたいこと・背景
2 ハム 言いたいことの内容・理由 ボディ1
3 卵 言いたいことの内容・理由 ボディ2
4 野菜 言いたいことの内容・理由 ボディ3
5 パン 言いたいこと

賢い読者ならこれを見れば察しが付くであろう。
はじめに「骨組み」「型」「フレーム」を作ってしまえば、該当となる文章を当てはめ、あとは必要に応じて肉づけしたり、そぎ落としていけば良いだけである。もちろんこれだけだと、条件が同じであれば誰もが同じような内容になる恐れがあるので、そのための解決法にも言及している。たとえば、「1人ディベート」を利用することにより文章に深みをもたらしたり、体験話を盛り込むことにより説得力を高めたりして、その心配事も見事に解決できる。
過去にいくつかの「文章術」の本を読んできた。もちろん、書評を書く上での技術力向上が目的だが、本書はその中でも頭一つ上をいく。日本語の使い方を学ぶというより、文章を書くための実践的なテクニックを一昼夜で身につけられるのが、とても好印象なところだ。何気にスゴ本なのである。

話は5行でまとめなさい―書く・話す・要約する すべてに使える必勝のストラクチャー
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by 具太郎
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賢人の習慣を取り組もう―コンサルタントの習慣術 野口吉昭


あなたが習慣にしていることはなんだろうか。本書では良い習慣をマネジメントすることで、日々の生活の質を高める方法を教えてくれる一冊となっている。

さいころから習慣化されている歯磨きと違って、大人になってからあるべき「良い習慣」を身につけようとしても、三日坊主で終わる人は多い。たとえば、英語の勉強、禁煙。メタボ対策の食生活コントロールと運動マネジメント。なかなか長続きしない。

みなさんも思い当たる節があるのではないでしょうか。僕はといえばこの時点(まえがき)で目をそらすことを必死で耐えている状態なわけですが(汗)。しかし、僕のような三日坊主でも習慣を仕組み化し、仕組みをまわしていくための「マネジメントのコツ」を掴むことにより、良い習慣を身につける事は可能なのだそう。
誰しも途中で挫折した経験はあるかと思います。
ではなぜ続けられなかったのでしょうか。原因として比較的賛同して頂ける理由として「それほど必要性がなかった」ことが挙げられると思います。当たり前のことではありますが、人は必要性にかられると大きな力を発揮します。しかし、必要性を感じられないもの、また、目的が曖昧なものについては三日坊主となる可能性が高まってしまうのですね。
僕が三日坊主で習慣化を断念してしまったモノの一つに「トイレ掃除」があります。皆さんご存知の通り『夢をかなえるゾウ』にて、大富豪の共通点はトイレがピッカピッカであるという一コマが。それに触発され始めたものの僕の欲望に満ちた習慣は長続きする訳もなくあえなく残念な結果となりました。
まず前提として、なぜ習慣化するのか。目標・目的を明確にする必要があります。その中で習慣化をマネジメントするポイントとして以下の三つがあげられています。

1.見える化
2.ランドセルサイクル
3.愚直さ
自分の現状を正しく把握し、前倒しの準備を怠らず、それを愚直に継続するというプロセスだ。

今の自分を冷静に把握し、主体的に考え、継続する。このサイクルをうまく回転させることにより、習慣化させることができるのだと。
継続する事、主体的に考える事といった普遍的な内容ではありますが、その重要性を再認識させてもらえる一冊。まずは習慣化する目的を明確にするところから僕は始めます(汗)

目次
序章 コンサルタントの習慣術とは何か—レセプター(受容体)を開いて、常に進化するために
1章 習慣をマネジメントする—「習慣=それをしないと気持ちが悪い状態」を実現するために
2章 「考える力」を磨く習慣術—いつも「三つ」に分けて考える思考習慣を持つために
3章 「主体的な行動力」が身につく習慣術—ロードマップを描いて、着実に成長するために
4章 「新たなものを創り出す」習慣術—自分に刺激を与えて、パラダイム・シフトするために
5章 「打たれ強い人」になる習慣術—自分もチームも、逆境を乗り越えるために
6章 「人を動かすリーダー」になる習慣術—責任を全うする喜びを感じるために

コンサルタントの習慣術 頭を鍛える「仕組み」をつくれ (朝日新書)
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by ジョガ
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経済学中級者を目指す人のための道しるべ ―はじめての経済学 下巻 伊藤元重


経済学の基礎を抑えたら、次に進むべき道を模索するための本として、本書が役に立つ。

上巻では、主に経済学の基礎であるマクロ経済学ミクロ経済学の視点を紹介していた。 下巻は経済学の応用編として、ミクロ的な視点を交えつつ、主にマクロ経済を中心に紹介している。応用編というだけあって、上巻と比べて専門用語が多くなり、教科書的な色合いが強くなる。本書を読んだら経済学がすべて分かるかというとそんなことはなく、むしろ、やっとスタート地点に立てたという印象である。経済学の基礎は理解できるようになってきたが、もう少しマクロ経済の専門的なことも勉強してみたいな、と思っている人にオススメな本である。

内容は大きくわけて、公共部門、金融システム、人と組織の経済学、国際経済の4項目である。 これら各章ごとの話題は独立しており、どの章から読んでもよい構成になっている。公共部門と国際経済は主に国の役割について述べられており、税金や公共事業、金利、為替、貿易といったキーワードの理解を深める内容である。金融システムは貨幣の理解を通して市場の形成や銀行の役割が焦点となる。人と組織の経済学は、主に日本企業のあり方について述べている。特に日本企業の伝統的な終身雇用についての考え方が学べる。

以上サラッと書いてはみたものの、実際に読んでみるとなかなか歯ごたえのある内容である。本書は各項目の内容のうちのほんの上澄みだけの紹介になっているので、真に理解しようと思ったら、さらに詳しく書かれた内容の本を読む必要がある。本書の最後に、"ブックガイド"として参考文献がのせてあるので、それを頼りにさらに深みにはまることができる。例えていうなら、試食コーナーで試作品をうっかり一口たべてしまったばっかりに、じゃあその商品を買おうかな、という気にさせられる、本書はそんな感じの本である。

目次
6.公共部門の経済学
7.金融システムを理解する
8.人と組織の経済学
9.国際経済を見る目
ブックガイド

はじめての経済学〈下〉 (日経文庫)
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by lhflux
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おじさんも受けたい授業―25歳の補習授業 「25歳の補習授業」製作委員会


「私たちはなぜ働くのでしょう?これからの日々を気持ちよく生きるために、私たちは何を身につければいいのでしょう?そして私たちは何を捨てるべきなのでしょう?」(p.5)

こんな基本的な質問に、7人の特別講師が真面目に答えて、それぞれが人生における補習授業をしてくれているのが本書。

目次
1時限目 理科ごころを持つ (講師:福岡伸一
2時限目 チームごころを持つ (講師:糸井重里
3時限目 自分値ごころを持つ (講師:池上彰
4時限目 悩みぬくこころを持つ (講師:姜尚中
5時限目 旅ごころを持つ (講師:養老孟司
6時限目 ブレごころを持つ (講師:太田光
7時限目 群れないこころを持つ (講師:渡邉美樹)

夢のような講師陣。こんな講師陣になら、25歳をとっくに越えてしまったおじさん世代の僕も補習授業を受けてみたい。いや、むしろ、社会に出てから十数年が経ち、心身ともに疲れ果ててしまっている僕たち世代こそ、こうした基本的な質問に立ち返って、自分の人生を考え直す時間が必要なのではないだろうか。

ここでは、個人的に共感するポイントの多かった講師の方を取り上げてみたい。

まず最初は政治学者で『悩む力』の著者である、姜尚中さん。言い古されたことだけれど、「まず自分がどういう人生と生活スタイルを理想や価値観とするのか?そこから仕事を捉え直したほうがいいと思うんです。」(p.95)と言っている。人生の理想、価値観、目標・・・こういったものを常に意識して生きることの大切さは、強調しすぎても強調しすぎることはない。こうしたことは何度でも繰り返し問い直したい。働くということに疲れた時にこそ、こうした根本的な問いかけが心に効いたりするんだよなと思う今日この頃。

そして、「これからの時代、他人との比較ではなく、あくまで身の丈サイズで生きる、それが一番大切なんですよ。」(p.102)とくる。いい仕事やいい暮らし、これって結局他人との比較の中で話をしている。先に見た自分の理想や価値観さえ固まってくれば、例えば六本木ヒルズに住むことを羨んであくせく働くこともなければ、卑屈な気持ちになることもない。自分の見据えるところさえしっかりしていれば、筋の通った生き方、考え方が自然と出来てくるというものだろう。そこまでの境地に至れていない僕は、25歳の若者達と並んで補習授業を受けて正解。

次は解剖学者で『バカの壁』の著者、養老孟司さん。「人生はそれぞれの人の作品。与えられた限られた材料をどれだけ立派な作品に仕上げられるかは、それぞれの人なんですよ。それに役立つことを修行と言うんです。今、修行の感覚が求められている気がします。」(p.134)と説く養老先生は、「修行」という言葉がいっぱい出てくるから『ドラゴンボール』を見るそうで。言っていることは厳しいけれど、親近感沸くなあと違うところで共感してみたり。

個性に固執しないと言って、「仕事とは世間が成り立っていくために必要なもので、それをそれぞれに割り振っているだけの話なんです。だからなんで仕事がないんだろうと思っている人がいたら、それは世間ではなくて、自分が悪いんじゃないですか、ということです。」(p.136)と厳しいお言葉。自分の理想や価値観を持つことが大切だと姜先生のところで言ったけれど、それに捉われて、自分の理想や価値観に合う仕事がないんです、というのは間違っている。社会で生きていく以上、理想や価値観は社会で認められ、仕事として割り振られていなければ成り立たないのだから。厳しいけれど、こういったことを言ってくれる人が、悩める若者には必要なのかもしれない。

最後はワタミ会長で「戦う組織」の作り方 (PHPビジネス新書)の著者、渡邉美樹さん。渡邉先生は、豊かな世代の”社会で生きるモチベーション”を高めるために、一つは「関心を持つこと」、もう一つは「責任を感じること」が必要だと説く。それによって、世界の中の自分を意識し、社会に対する責任の意識を持つことの大切さを強調している。そして、社会で生きるうえで「小さな目標」から設定していくことで、やがて大きな目標が見えてくるようになるものだと言う。

渡邉先生の教えからは、実践ポイントを一つ。それは設定した目標(課題)が現在の自分の能力ではクリアできない際に必要な「学び」の方法。具体的には、「周りの人たちのいいところを中心に見て、いいところを真似ること」と、「古典と呼ばれるようなきちんとした本を、思考をめぐらせながら読むこと」、「日記を書き、自分自身の”本当”と向き合うために1日の自分を振り返ること」。人生における「学び」はいくつになったって大切。ただし、ブログで日記をつけることは渡邉先生のいうところの「学び」には繋がらないのでご留意を。

25歳というのは働き始めて数年経った若者に向けたメッセージという意味合いなのだろうけれど、十数年を経過した僕にも示唆に富んだ内容が多く、ためになる一冊だった。ターゲットの若者は勿論のこと、後進を指導する立場にある方などにも読んでいただければ得るところがあると思う。人生において必ずや考えなければならないテーマ、この機に是非。
25歳の補習授業―学校で教わらなかったこれからいちばん大切なこと
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by Taka@中小企業診断士(業務休止中)
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緊急速報だよ!―先日告知した美崎栄一郎氏のセミナーに、あの方も特別講師として参戦だとっ!!


先日お知らせしました、11月21日(土)開催、主宰者大森陽介氏・講師美崎栄一郎氏の『「記録」から生まれるパーソナルブランディングセミナーに、あのお方の参戦が決定!!
その方とは、これまた先日処女作発売の告知をさせていただいた、あの鹿田尚樹氏!


ところで、セミナーの詳細は、大森陽介氏の記事をご覧頂きたいのですが・・・。
[【告知】11/21(土)大事なことはすべて記録しなさいの鹿田尚樹氏参戦!]


実は、私非常に不愉快です!
お茶目な私としては、今回のセミナーも前回と同様、突然現れて大森氏を脅かそうと企んでいたのですが、急遽仕事から抜けられなくなりました(涙)。そのことが決まったのが今日。鹿田氏参戦を知ったのも今日。そういえば、今日の水瓶座は11位だったっけ・・・。
実はこちらも隠し玉として、当ブログライターの美々も参戦させようと思っていたのですが。仕事のバカヤロー!!


ということで、熱くなりましたが、皆様ぜひ参加して「記録」の極意を学んできてください!

「結果を出す人」はノートに何を書いているのか (Nanaブックス)
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大事なことはすべて記録しなさい
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by 具太郎
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出来る上司は何でも知っている―上に立つ人の24時間管理術 野村正樹


「リーダーたるもの、時間を制すれば仕事を制す」ということで、タイトル通りの内容である。
人の上に立つもの、つまり部下を持つものは、その部下の人生を預かっていることを自覚し、見本となれるよう行動すべきである。日頃、いやだいぶ昔からそのような上司が見当たらなくなった。時代が悪いのか、何か別の要因があるのか、とにかく上司本人に他人を見る余裕がなくなったと感じられる。そういう上司が部下を育てれば、おのずとその部下の未来も見えてくる。そしてその組織は、魔の連鎖に突入していくのだ。
と、能書きは置いといて、そんな上司にならないよう「時間」という観点から論じた本書は、出来るビジネスパーソンであれば当たり前のことばかり。しかしいったい、この当たり前のことが出来ている社会人がどれほどいるのであろうか。おそらく9割以上の人が出来ないから、この手の本が出版され続けるのであろう。

目次
プロローグ 超多忙時代に勝てるリーダーの条件
第1章 部下の仕事を徹底的に効率化させよう
第2章 職場に「時間革命」を起こそう
第3章 「仕事が速い!」と尊敬される上司になる
第4章 プライベート時間で人生の差をつけろ!
第5章 人生を“自分の時計”で生きてみよう

今回は仕事面でなく、あえてプライベート時間の使い方について取り上げてみたい。
名リーダーほど博識で多趣味な理由とは?

上に立つ人は、仕事の知識が豊富でなければ務まりません。(中略)しかし、上に立てる人は「仕事の知識」さえマスターできれば万全だとも言えないようです。つまり、仕事以外の教養や文化関係の知識をどれだけ広く深く持っているかも成否の決め手になるわけです。

第1科目=社会科

たとえば、商談相手の暮らす場所の地理・地勢・歴史・産業・行事・風土・風習などに関するおおまかな知識・情報・見識・興味の有る無しで、相手が心を開く度合いも違ってくるのは当然です。「ここは有名な○○さんが生まれた町でしたね」や「ご当地の△△は本当に美味しい」「××祭りは人気ですね」などのひと言が相手との距離を縮めるキッカケにもなるでしょう。

第2科目=文化・芸術

とくに、小説・詩・俳句・和歌などの文学・文芸関連。絵画・写真・書道・工芸・陶芸などの美術関連。舞踏・演劇・映画・音楽・ショウビジネスなどの知識や素養が少しでもあれば、話題は無限に広がって対人力アップに大貢献します。

第3科目=趣味・運動・健康

定番メニューは、釣り・旅行・ゲーム・園芸や、ゴルフ・テニス・マリンスポーツ・ジョギングなどのスポーツでしょう。

仕事仲間と仕事の話をするのは、誰もがやっているし、誰にでもできること。しかし、仕事以外の一般教養や雑学的な知識を持ち合わせていたら、単純に「かっこいい」ですね。
その話相手が自分の部下であれば、間違いなくリスペクトされることでしょう。(もちろん「仕事ができる」ことが前提にはあるが)
「名リーダーは博識で多趣味」なのである。

上に立つ人の24時間管理術
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by 具太郎
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経済初心者から一歩を踏み出すための経済教室 ― はじめての経済学 上 伊藤元重


本格的に経済学の勉強をはじめてみようという心意気のある人にオススメな本である。

本書は、導入部の第1章、マクロ経済学の第2章と第3章、ミクロ経済学の第4章と第5章という大きく分けて3部構成になっている。 導入部では、なぜ経済学というものが必要かということを、為替や金利といった経済用語を交えて紹介する。 経済についてよく分かっていない人は、まずこの導入部を読んでみて、本書(上巻)とそれに続く下巻を買うかどうか決めた方がよい。タイトルにある"はじめて"という言葉にうっかり惑わされると、きっと後悔することになると思う。

導入部の次はマクロ経済、さらにはミクロ経済と続く。厳密にいうと、マクロ経済学ミクロ経済学とは明確に分類できないらしい。 ただし、本書の言葉を使って大まかにいうと、「マクロ経済学は一国経済の全体像を捉える枠組みであり、ミクロ経済学は個人や企業の経済的な意志決定・選択を解明する枠組みである」(p.13) となる. かみ砕くと、マクロ経済は国家戦略であり、ミクロ経済は個人戦略となる。

マクロ経済にみる国家戦略の最大のポイントは金利である(と思う)。国は金利をコントロールすることで、間接的に世界経済を動かす。例えば、日本が金利を上げると、ドルよりも円の魅力が上がることで円買いが進み、円高傾向になる可能性が高い。ただし、日本経済にとっては、金利が上がることで企業は借金をしにくくなり、日本経済が回らなくなってしまうかもしれない。そうなると円安傾向になる可能性もある。経済の行方、例えば日経平均株価の推移を正確に予測することはまずできないので、金利をどうするかという問題は非常に重要な要素であることに間違いはない。金利をどのタイミングで上げるまたは下げるかということを判断するのはなかなか難しく、マクロ経済の指数となる国内総生産GDP)などをみることで、経済の判断を行うことになる。

ミクロ経済では、市場原理が基本となる。個人の視点に立った時、あるモノを売りたい人と買いたい人がいる。売りたい人はできるだけ高い値段で売りたいし、買いたい人はできるだけ安い値段で買いたい。これら両者の気持ちを図示したのが、供給曲線と需要曲線である。これら両曲線の交点が、モノの価格となる。話しは単純なのであるが、よく理解しようとすると奥が深い。大切なポイントは、特に政治介入などをしなくても、市場原理に任せれば適切な価格が決まるということである。ミクロ経済のもうひとつの視点として、本書ではゲーム理論を紹介している。ゲーム理論については、いろいろなところで説明があると思うので、その要点だけを言うと、相手の戦略を考慮して自分の戦略を決める方法となる。

著者の伊藤元重氏というと、テレビ番組ワールド・ビジネス・サテライトにも時々出演しているところを見かける著名人である。彼は東大教授であるためか、本書も大学1年生向けに書かれた内容のように感じた。私のような、経済学を独学で学んでいる初学者にとっては、本書はちょっと難しい内容であるものの、がんばって読むと経済学の理解が一歩進んだような気にさせてもらえる。普段、日経新聞を読み、ワールド・ビジネス・サテライトを見ていて、ちょっと経済学について学んでみようかな、という人は本書が勉強になると思う。

目次
1.経済学とは何か
2.経済を大づかみに捉えると―マクロ経済学の基本
3.日本経済を変えた三つの分岐点―マクロの視点で考える
4.市場の原理を理解する―ミクロ経済学の基本
5.ゲーム理論の考え方

はじめての経済学〈上〉 (日経文庫)
4532110149


by lhflux
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