仕組み作りによる営業効率の大改善 ― 営業の見える化 長尾一洋


本書は営業プロセスをシステム化することにより、営業効率の大幅アップを目指す内容である。

営業というと、売り上げに直結する大切な業務であるものの、その中身については営業部隊に全権を委任していて不透明な部分が多い。というのも、ある一時期の売上高だけではその人の営業能力を正確に判断できないところがあり、かといって営業のプロセスで評価するにしてもその評価の仕方がワカラナイ。本書はこの営業プロセスをきちんと評価するためのシステム構築の方法を紹介している。その方法を"営業の見える化"と呼んでいる。

"営業の見える化"を私の言葉で言い換えると、"感覚的にとらえていた営業を理論的に説明できる営業にすること"となる。 感覚と理論の最大の違いは、数値化できているかどうかにかかっている。例えば、"この商品は売れるの?"と聞かれて"結構、売れるよ"というのが感覚的であり、"渋谷の女子高生なら5人中1人くらいが買ってくれる"というのが理論的である。つまり、"結構、売れる"という感覚は人によって違うので、他人に説明しても判断のしようがないのである。"営業の見える化"というのは、自分の行った営業をデータベース化し、それをより理論的に捉えるための作業に相当する。

このとき大切なのが、始めての訪問から商品の引渡しもしくは交渉の決裂まで、営業にかかわる全プロセスをきちんとデータベース化することである。データベース化しようとする場合、自分の成功談ばかりを強調したくなるかもしれない。しかし、失敗談もきちんと記していないと全く意味が無い。なぜなら、失敗談がなければどのくらいの確率で売れるかどうかも分からないし、改善すべきところがどこなのかも判断できなくなってしまう。まさに、"失敗は成功のもと"である。このデータベースを社員みんなで共有できるようにシステム化すれば、情報量も増え、新人研修用のマニュアル作成や営業プロセスの改善に大いに役立つ。

本書は主に中小企業の経営者や営業担当の幹部に向けて書かれた内容である。しかし、この営業プロセスをデータベース化する作業は個人でも行うことができる。そのため、営業関係の方にとってオススメの本である。データベース化するにあたり、どのような項目を記載しておくべきかといった詳細は本書に詳しく書いてある。営業の仕方に悩んでいる方は、本書にかかれた方法を実践してみるとよいかもしれない。

目次
Chapter 1 営業はなぜ、「見えなくなってしまう」のか
Chapter 2 営業の「プロセス」を見える化する
Chapter 3 「数字」を「ストーリー」に落とし込む
Chapter 4 営業の「登場人物」を見える化する

営業の見える化
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by lhflux
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