八方美人!―「いい人に見られたい」症候群 根本橘夫

目次
第1章 「本当の自分」を生きられない
第2章 自我の発達と分裂
第3章 なぜ、代償的自己を生きてしまうのか
第4章 「本当の自分」の正体
第5章 自分になるということ
第6章 自分を生きる
第7章 自分の人生をつくる

いい人に見られたい!と意識したのはいつからだろうか。好きな人が出来たから?子供の時親に褒められたくて?意識し出す時期は人それぞれにしろ、誰しも他の人に見せている自分と、「本当の自分」と思っている自分との間にギャップを持ち合わせていると思います。僕なんて化けの皮を剥がすとひど(ry…)
それはさておき、例えば、電話に出る母親の声色などがそうでしょうか。今まで夫と険悪な雰囲気を漂わせていたにも関わらず、いざ、電話に出ると「もしもーし♪」の一言。これは逆に切り替えの早さに拍手を送るべきかもしれませんが。これとは反対に「偽りの自分」を演じてしまっているという感覚に悩む方もいらっしゃると思います。本当は辛くて悲しいけど、周りの雰囲気を壊さないため、強がって明るくふるまう自分。他の人にやさしい言葉を発しているけど、言葉とは裏腹な冷酷な悪気を持ってその人を見ている自分。本書では「偽りの自分」を大事な自分として肯定的に受け止め、自分の人生をより満足出来る手助けとなる1冊です。
心の中の自分を抑え、周りに適応する部分を「代償的自己」とし、なぜ代償的自己を生きてしまうのか。そもそも「本当の自分」とは何なのかなどの問いに対して、多くの方々の体験を紹介しながら解説しております。

代償的自己とは「自分である」と感じるものを抑圧する形で外界に適応する自我の部分の事です。
すなわち、自分の生身の感覚、感情、衝動、欲求、願望、夢をさておいて、外界から期待されている自分として感じ、思考し、欲求し、行動しようとする自我の事です。
人は誰でもこうした面を持っており、代償的自己が私たちを成長させ、望ましい行動を導くという事にもなります。

代償的自己そのものが悪いというわけではなく、そういった一面を持ち合わせている事が人間として正常な事であると。しかし、この代償的自己が大部分を占めている人は注意が必要。
先日のこと、上司と昼食に出かけた時の事です。僕は焼き魚が好きなのですが、箸使いが褒められたモノでなくお魚の体は大変な事になってしまいます(汗)。そんな事が頭をよぎり、上司に陳腐な姿は見せられないと思った僕は「生姜焼き定食」の一言。安牌です(汗)。こんなしょうもない話で恐縮なのですが、この時僕は好きな焼き魚を頼めばいいわけです。もちろんお得意先の前では控えるべきでしょうが、周りからの期待されている自分を懸命に演じているだけではストレスも貯まり易くなるでしょう。
本書の巻末では周りに対して自分を開放する方法として、自分がやりたいのに抑えてきたことを思い切ってやることを勧めています。

ばかばかしい、子供じみている、恥ずかしい、意味がない、役に立たない、忙しい、いろいろな理由で私たちは多くのやりたいことをやらないで生きています。
そうしたことを思い切ってやってみることです。他愛のないことでも、意外に自分を束縛するものから自由になったという感覚が得られます。
1.やってみたいこと、楽しい事を20個列挙する
2.実行計画を立てる
3.出来る事からやっていく
こうしたことを実行していくことで、いかに不必要な制限を勝手に背負っていたかを実感させてくれ、自由で開放された自分を感じる事が出来ます。

周りに積極的に関与しつつ、振り回されない自分を作る方法として、まずはしっかりと自分を知り、代償的自己も自分の一部であると受け入れることが大切であります。僕はまず昼食に好きなものを頼む!から始めよう。
「いい人に見られたい」症候群―代償的自己を生きる (文春新書)
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by ジョガ
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