米国と日本におけるサービスに対する意識の違い―サービス発展途上国日本 奥谷啓介

サービス発展途上国日本―“お客様は神様です”の勘違いが、日本を駄目にする
サービス発展途上国日本―“お客様は神様です”の勘違いが、日本を駄目にする奥谷 啓介

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本書の裏表紙に書いてある、以下の文言に喰いつきました。

サービス業界で働くあなた、思い当たること、いくつありますか?
□理由もなく、頭を下げて謝らなければならない経験をしたことがある
□「客をなんだと思ってんだ!」と怒鳴られたことがある
□お客さんに、明らかに見下された
□好意でやってあげたサービスを、当然のように思われて感謝されない
□給料が安すぎる
□会社の体勢が、顧客満足のためにサービスマンを犠牲にしている
□経営者やマネジャー、店長のリーダーシップが弱い
サービス残業が多い
□土日に休めないだけでなく、休暇が少なすぎる
□やりたい仕事になかなか就けない
5つ以上チェックがついたら、病気になる前に本書を読んで考え直す必要があります。

はい!9つのチェックがつきました。重病ですか?
著者奥谷啓介さんは、外資系ホテルでの豊富な経験を持つ文筆家。従って、本書の内容は「外資系ホテルマンから見た日本のホテルに関すること」に、自ずと偏ってしまいます。そのため、私のような小売業におけるサービスマンの視点とは、若干ずれていました。
だからと言って、読む価値がないわけではありません。何せあの土井英司さんも紹介してますから。
実際私にとって本書は、上記の10項目にあるようなことをいかに打破すべきか、日々悩んでいる上で手に取った一冊です。そんな私からみた、本書で参考になったポイントは以下のとおりです。

アメリカ人は謙らない。彼らは、人はみな同じ目線で人を見なくてはいけないと思っている。それは差別との長い戦いを経てたどり着いた終着点であり、差別意識を持った人間こそ悪人として法で裁かれるべきだと考えている。・・・(中略)・・・こうした強い平等意識があるから、彼らはゲストに対しても平等な立場をとる。ゲストもスタッフに偉そうな態度をとらない。

こうした上司の言動を受けるにつけ、私は上に立つ者の条件を考えるようになった。まず絶対的に必要なことはすべての人に公平であること。次に、部下への思いやりを常に持ち、部下が気持ちよく働けるように妥協なしに労働環境を整える行動力を持っていること。

アメリカはリーダーが大勢を引っ張っていく国。それにみんな異存はない。自分よりも強いリーダーシップを発揮する人に彼らは素直に従う。そして、そのリーダーから学び、いつか自分がそれ以上のリーダーシップを執れる人物になり、人々を引っ張る立場につこうとする。いいリーダーに巡り会えることで、その人の人生観も力量も変わってくる。

さて、繰り返しますが冒頭に挙げた10個のチェック項目は、外資系ホテルと日本のホテルを見比べて感じた違いにあります。これは二国間におけるサービスに対する意識の違いが顕著に表れている結果です。
それでは、日本人のサービスに対する意識は変えられるのか?
残念ながら私はムリだと思います。理由は多々あるので本記事では言及しませんが、日頃肌身で感じていることが一番大きな理由ですね。しかも、今後ますますひどくなると思っています。
そう言えば、今日もムチャを言うお客が多かったなぁ。本書的に言えば、「職業差別」を通り越して、もう同じ人間として扱われていませんね。

「お客様は神様です」の勘違いが、日本を駄目にする

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