昭和に学ぶ商品開発のための3原則―ヒットの神様 内田耀一/コイケジュンコ

ヒットの神様―伝説のマーケッターに学ぶ、不況に勝つ知恵
ヒットの神様―伝説のマーケッターに学ぶ、不況に勝つ知恵内田 耀一

幻冬舎 2009-06
売り上げランキング : 57851

おすすめ平均 star
star商品をヒットさせるには、アイデアとリサーチが必要

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

アレとかコレとか昭和の有名な商品から学ぶ、商品開発の裏話。個人的に懐かしい商品が多々登場し、「昔は良かった〜」とオヤジのつぶやきをもたらした本書。罪なやつです。

目次
第一章 「マーケティング」という言葉がなかった時代の商品開発
第二章 ベビーブーマーの受験戦争とサザエさんカップラーメンの登場
第三章 豊かさへの道を歩む日本と商品コンセプト概念の確立

マーケィング理論がまだ輸入されていない時代に作られた内田流マーケティング理論は、商品をヒットさせるための真理をついており、現代でも十分活用できるものです。
本書帯に書いてある「当たり前のことが、最初は誰も思いつかない」のフレーズ。まさしく、ここに気づけるか気づけないかが勝敗の分かれ道になると思います。
そんな気づける男内田耀一さんの、商品をヒットさせるための基本3原則をご紹介したいと思います。

原則1 その商品を使うであろう人々が商品に対して持つ「本当の心」を知る
原則2 ホンネを商品に根付かせる
原則3 「どのようにしたら人々の商品に対する本当の心を開発商品の中に取り入れることができるのか」を、真剣に考える

今でこそ様々なマーケティング手法が輸入され、開発され、利用されていますが、このような概念のなかった当時のマーケターは、まさしく試行錯誤で仮定・検証を繰り返しながら、現代にも残るようなヒット商品を送り出してきたのだと思います。
そしてやはり、重要なヒントをくれたのが現場であり消費者であったのです。そのため、内田さんが心にとめておいた我流の原則は、消費者の心・本音の部分を抜きには語れなかったのでしょう。そんな内田さんの仕事の結晶が以下にキャッチコピーという形として残っています。
「違いがわかる男のゴールドブレンド
「ピンクの小粒、コーラック
「がんこな汚れにザブ」
「白さと香りのニュービーズ」



さて、これだけの実績を残された内田耀一さん。さぞや有名な方かと思いググッてみましたが、上位に来るのは本書に関するコンテンツばかりで、本人が前面に出されたサイトがヒットしませんでした。どうもこれは、本書の冒頭に書かれてあるとおり、自分が携わった仕事のデータは「企業秘密に関わる」ことなので、すべて処分され、日の目を見ることがなかったことが原因と思われます。
自分の仕事の成果が残らない・・・。そのため、十分な評価もされない・・・。このような状態の中で、40年以上もマーケティングの仕事に心血を注いできた内田さんのプロフェッショナルな人生に感服です。

にほんブログ村 本ブログ ビジネス書へ