出来るマネジャーになるためのたった7つの手順―真のリーダーに導く7通の手紙 松山淳

真のリーダーに導く7通の手紙
真のリーダーに導く7通の手紙松山 淳

青春出版社 2009-06-25
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先日、「飲みに行きませんか?」と異動した部下から連絡がありました。突然の誘いだったからこそある程度予想できたのですが、やはり新しい職場における人間関係の悩みでした。
普段であれば、「自分の正しいと思える道を信じて、どんなにつらくても意志を貫いていけ!」とか「周りの人々が何を期待しているのかすばやく察知して、求められている役割を演じろ!」なんて偉そうに助言するのですが、見えない職場における見えない人々に対しての助言に責任を持てず、反射的に躊躇してしまいました。(結果的には、じっくりと話を聴いてあげることで満足してもらえたようですが)
社会経験10年以上にもなると、上司からも部下からも大いに期待され、あらゆる技能を身につけていなければなりません。しかし、そんな中間管理職も皆と同じ人間です。スーパーマンになるのは不可能なのです。
私たちにもたくさんの悩みがあります。自分のこと、家族のこと、仕事のこと、上司のこと、部下のこと、過去のこと、現在のこと、未来のこと・・・、それらを日々クリアしていくのは並々ならぬ努力を必要とします。
本書『真のリーダーに導く7通の手紙』は、著者松山淳さんがメルマガ「リーダーの涙」を加筆修正したものです。
本当は周りが思っているほど強くない40過ぎの主人公が、リーダーという立場にある中で、7つの段階を経て理想的なリーダー像に成長していく物語です。同じ立場にある私にとって、主人公の心の葛藤に大きく共感でき、思わず目頭が熱くなるものがありました。
どのようにすれば理想的なリーダーになれるか、人間の弱さを知って強くなっていくたった7つの手順をご覧ください。

1.自分を見つめる

もし何か仕事のことで、人生のことで辛いことがあって、その事実を否定したり、他者を攻撃したりしているのであれば、やがてその現実を受け入れ自己を成長させるための準備段階にいるのだと考えてみてください。
もし、何か辛いことがあるのならば、「自分が今何を考え、どう感じているのか」を書き出してみてください。それは「何があったのか」という出来事を記すものではなく、自分の正直な気持ち、感情を吐露するためのものであり、乱暴な言葉づかいを許されるなら、感情をぶちまけるための日記です。

2.無知であることを知る

人は自分のことをよく知りながら、知らないこともたくさん持っている存在です。自分では気づいていない、気づくことのできない自分を抱え込んで生きているものです。
人望は、人間性を磨くことでつくり上げられるものです。その評価を決定するのはあくまでも周囲の人だということを忘れてはなりません。人望とは、他人の心の中にあるものなのです。

3.悩みを人に話す

自分の思っていること、考えていること、腹を立てていること、悲しんでいること、それらのことを本音で感情を隠さず、喜怒哀楽をともない、ひたすら話す。そして、聴いてくれた人に自分を受け止めてもらえた、理解してもらえた、そう感じることで人は悩みと自分との距離をとり始めます。

4.意識と無意識のバランスを知る

人は、否定してきた自分(影)を他者のなかに発見し、感情を乱します。なぜなら、「影」とは「コンプレックス」と深く関連しているからです。
意識の上である要素が出っ張りすぎると、無意識が下へ下へとバランスをとるために引っぱるといったイメージです。ですが、変化に抵抗するのが人の常ですので、この時の無理な引っぱりあいが、心に歪みや、きしみや、亀裂を生じさせ、感情をうまく制御できなくなるのです。

5.人の話を聴く

部下の話を黙って聴くことができない5つの理由
a)自分が悩みを抱えていて、他人の話を聴くだけの余裕が心にない。b)自分の意見は部下よりも常に正しいという先入観がある。c)答え、解決策などの結論、助言をすぐに言ってあげることが「その人のためになる」という誤解がある。d)聴くことよりも答えを早く出すことで、自分の有能観が満たされ心地よさを感じるから。e)助言をして早々と話を切り上げれば、自分が楽になれるから。
これら5つの理由に共通する点は、話を聞く姿勢が自分中心的だということです。
人の価値観は十人十色です。自分と似て非なるものがほとんどです。人の話を聴けば聴くほど、他人と自分の価値観にギャップがあると、気づいていきます。

6.強さを身につける

人は自分の力ではどうすることもできない不運を経験することがあります。その時、「どんな自分でいるのか」によって未来は変わっていきます。他人の助言に耳を閉ざし、歪んだ自分に気づかずにそのまま生きていく人もいます。反対に、「この不運はいったい自分に何を伝えようとしているのか」と思考を柔軟にし自分の内面をみつめ、苦しみながらも新しい自分に目覚めていく人もいます。
強さを誇示して他人の辛さを思いやれない人であるより、弱さを抱える人間の真実に気づいている人の方が、本当の意味での強さを持っているはずです。

7.自分史を書いてみる

もやもやとした不安感にとらわれていたり、自身を失っていたりする時に、自分史を書くと心の安定を得られることがあります。
自分の物語を書いてみると、あやふやになっていた原点や人生の歩みが明確になり自己を再評価することができます。

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