上司も部下もみんなハッピー ― 職場で役立つ交渉術 佐藤満


本書の特色は、上司や部下との職場でのやりとりを想定したコミニュケーション術を紹介している点である。
本書で扱う交渉術というのは、自分の意見をとにかく通すといったテクニックの紹介ではなく、上司や部下のみんなが満足できる結果を残そうとする一種のコミニュケーション術に相当する。毎日一緒に仕事をする上司や部下とは日頃から円滑な人間関係を築いておきたい。とはいってもお互い人間である以上、気が合う人もいれば合わない人もいる。その中でも、特にコミニュケーションが難しい特徴的な上司や部下をいくつかのタイプに分け、そのタイプに合わせた人間関係の築き方について著者が解説する。キャラクター設定がしっかりとしているため、実際の交渉の場をイメージしやすい内容となっている。上司が自分の話を聞いてくれない、とか、部下の扱い方に悩んでいる人に大変オススメな本である。

目次
第1章 交渉について学ぶその前に
第2章 ビジネス交渉に欠かせない基本準備
第3章 実践の基礎技術〜対上司編〜
第4章 実践の基礎技術〜対部下編〜
第5章 実践の基礎技術〜対社外編〜
第6章 組織全体に「YES」と言わせる考え方

特に本書で今すぐにでも実践できる交渉術の注意点として、以下の3つが挙げられている。

・相手を打ち負かしたり、屈服させてはいけない。
・具体性のない安直な言葉を使ってはいけない(大丈夫です、なんとかします、がんばります、など)。
・ウソをついたり、大風呂敷を広げたりしてはいけない。

これらに気をつけるだけでも、かなり人間関係がスムーズにいくと思われる。
日本で交渉術というと、相手を説得させるための方法を連想する人が多いようだ。以前、踊る大捜査線の映画シリーズで "交渉人 真下正義"というのがあった。そこではユースケサンタマリア演じる交渉人こと真下正義が巧みな話術によって犯人を追いつめていくという内容である。こういったメディア効果もあってか、交渉術というと相手を自分の思い通りに動かすためのタラし込み術というイメージが日本では強いようだ。
しかし、本書でもいうように、本来あるべき交渉術というのは、誰かをタラし込むといったネガティブなものではなく、みんなが満足できる結果を得るためのものでなければならない。強引に自分の主張を通してしまったばっかりに、周りの人から嫌煙されるようになってしまったらダメである。なんか最近、まわりの視線が冷たいと感じている人や、なんで誰も自分のいうことを理解してくれないのかと悩んでいる人は、まず本書を読むことをオススメしたい。誰もが楽しく仕事できる職場、そんな職場環境を作り出すためのヒントが本書にはある。自分のほんのちょっとした気遣いだけでみんながハッピーになれる可能性を誰もが秘めている。そう、私にも。


by lhflux
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