中小企業が学ぶべき税理士の選び方―あなたの小さな会社を潰すのはわがまま銀行とワガママ税理士だ! 佐瀬昌明


銀行融資17年、現在、企業再生コンサルタントの著作です。
今まで、銀行に対するそのノウハウを扱った書籍はけっこう目にしましたが、税理士にフォーカスした部分は斬新かつ、非常に役立つものであります。
小規模零細企業にとって、税理士選びは非常に重要なことなのですが、その重要さに気づいていない経営者の方は大勢います。
私も実際、元信用金庫職員として、そのような経営者をたくさん目にしてきました。小さな会社は、自社で経理業務、主に仕訳作業などをする余裕もないので、記帳代行を税理士に依頼している会社が多いです。要するに全て、税理士任せ。この行為自体が、経営にとって、本当は悪いことなのですが、限られた人員と、時間、費用でするならばしょうがない選択です。
税理士であれば、すべての人が同じような仕訳をしてくれるかと思いますが、これは大きな間違いです。また、スピードも違います。
自分の会社が月単位で、どのくらい儲かっているのか、損しているのか、これをきちんと把握している経営者って意外と少ないんです。それは、経理業務を全て税理士任せにしているので、自社のことなのに、間接的に人から聞かなければ、自社の業況がわからないからです。自分のことなのに、人から聞かなければわからない。自分の体重を自分で計れないような状況なのです。
ましてや、業況の把握は非常に大切なことであり、月単位の業績結果などはすぐに知りたいもの。このことを理解している税理士は、非常に早く、月次の試算表をまとめて、提出してくれますが、完全に記帳代行さえすれば良いと思い込んでいる、税理士は、クライントの業況なんておかまいなしです。
実際に、本書と同様に、そのようないい加減な税理士をたくさん見てきました。もちろん、経営者の身になって、的確なアドバイス、節税指導、経営指導してくれる税理士もいます。しかし、ほんのわずかです。
本書はその「わずかな優良な税理士」の選び方と、「経営に被害を及ぼす税理士」を、実例に基づき紹介しています。とくに、「税理士資格」を得たプロセスの紹介は、お付き合いする税理士を選ぶのに非常に参考になります。
税理士になるための方法は以下の手段があります。

1.税務署で23年間徴税業務をしたら自動的に資格を取得できる
2.大学院で2つの修士学位(会計学と法学、もしくは財政学)を取得する
 (現在は会計科目1科目、税法科目1科目の税理士試験の取得が必要)
3.税理士試験に合格する
(税理士試験の会計科目2科目、税法科目1科目を含む合計5科目を取得)
税理士試験の1科目合格率は10%で勉強時間は1科目1000時間が目安
4.弁護士・公認会計士の資格を持つ

税理士になるにあたり、どのプロセスをたどってきたかで、明らかな差があるのは歴然です。もちろん、試験を受けずに税理士になった人でも、非常に良い方もいますが、本書でも、私の経験でもごくわずかです。
税理士に依頼する業務は、たんなる税務申告ではありません。経営判断、指揮をとるために必要な、業況を把握するための数値的資料を、迅速かつ正確に供給してもらわなければならないのです。
どんな税理士と付き合おうが、自分で選び、全てが自分に帰ってきます。任せている業務の重要さと、その税理士選びの大切さを知るのに、本当におすすめの1冊であります。

目次
1章 零細企業を潰している“犯人”は誰だ!
2章 こんな“わがまま銀行”があなたの小さな会社を潰す
3章 “わがまま銀行”と付き合うには2行以上と付き合え
4章 こんな“ワガママ税理士”があなたの小さな会社を潰す
5章 会社を潰す税理士、良くする税理士を見分ける4つのポイント
6章 会社再生のプロが教える潰されない会社になる方法

あなたの小さな会社を潰すのは“わがまま銀行”と“ワガママ税理士”だ!
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by大森陽介
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