ダメな弟に捧げる、最後の忠告―ハイブリッドワーカー ヨシナガ


「起業」でもなく、「副業」でもなく、「ハイブリッドワーカー」という新しい考え方。
昨年からの経済大不況もあり、会社に一生を捧げる人生はリスクが高いと認識しているが、個人で戦い抜くにも厳し時代。だったら、二足の草鞋を履いてしまえという、この時代を生き抜くには大切な考えである。
本書は、著者のヨシナガさんが、「ハイブリッドワーカー」である6名にインタビューをし、生の声をお届けするという構成。
「ハイブリ」生活を確立させるための、具体的な手法が身に付くわけではないが、6名の体験談が読者に親近感を与えてくれる。これを読めば、私も「ハイブリ」になれるという自信が湧くであろう。

目次
田中圭一 「サラリーマン」兼「マンガ家」
津村記久子 「会社員」兼「小説家」
sachi 「OL」兼「ヴォーカリスト
太田靖彦 「芸能マネジャー」兼「農業家」
うーら 「OL」兼「料理研究家
RYO 「ミュージシャン」兼「薬剤師」

目次を見ても分かるとおり、どの方も異色の職業の組み合わせだということが、一目で分かるであろう。
私が感じた印象では、“第1の仕事”と“第2の仕事”は、正反対の特性を持っていた方が、長続きさせるコツであると思われる。本書の「ハイブリ」達も仰っていたが、お互いの仕事のストレスが、互いのストレスの発散の場になっており、それはどちらか一つでも欠けてはいけない証明となっている。もちろん、互いの仕事を、互いの仕事に活かすことも強調されている。まさしく相互関係として確立されているわけである。
今回ご紹介したいエピソードは、会社員兼小説家の津村記久子さんの項。

津村 でも、そういう人って発表するメディアがどうのとか……。ヨシナガさんはWEBから始めはったし。WEBでも、全然いいんですよね。
ヨシナガ まずやることが重要で。でも、その前段階で踏みとどまっている人は多いですよね。
津村 テキストサイトでもすごい人たくさんいるじゃないですか。
ヨシナガ WEBのテキストサイトを見てるんですね!
津村 好きですよ。私が自己卑下が大きいっていうのは、テキストサイトであんなに上手い人がおんのに、私なんかがお金取ってやるな、とか思うからですよ。
(中略)
ヨシナガ でも、そこは生まれつきかもしれない。そこで踏み出せない人は、衝動……僕、不幸が足りないって思ってるんですけど。欠乏感が足りないっていう。
津村 不幸が足りない(笑)!あの、そういう人たちって垣根をね、なんか大そうなものとして捉えている。「すごくいい作品じゃないと、発表する意味がない」っていうふうに考えてて。対極として、どうでもいい個人的なことを延々と書いているブロガーとかもいるじゃないですか。「そうはなりたくない」って言うんですよ。
ヨシナガ プライドが折り合いつかない……。僕もサイトの内容は65点でもアップするって公言してるんですが、その垣根の折り合いを上手くつけるために決めたことです。僕の場合は毎日書かなきゃいけないっていうのがあるんで、もう。
(中略)
ヨシナガ 歳をとった後でアレができたのにって思うと……。
津村 つらい。それは本当につらいですね。だから自己満足だけのブロガーたちの垣根の低さを、逆に参考にしてもいいんですけど……。
ヨシナガ 折り合いつけるのもテクニックなんだろうなぁ。彼氏ができないとか彼女ができないとかも、歳をとるにつれてハードルが上がってくっていうか。「初めてつきあうんだから、ものすごくかわいくなきゃダメだ」とか。なんかそういうことで上手く壁を越えられないのに近い気がして。
津村 似てる、似てる。
ヨシナガ ものを作るのも19歳だったら「こんなんでいいや」って出せるけど、でも35歳になったら、「35歳で初めて出すものは、こんなものじゃなくて」って……。
津村 どんどん難しくなっていく。
ヨシナガ 一秒一秒、歳をとってくんだから、思った瞬間に越えたほうがいい。
津村 そういうのありますよ、ホントに。
ヨシナガ それができてない人が、これからやれるようになる、ハイブリッドな時代がきてくればいいと思いますけどね。
津村 その入り口として、お金にならないこと、人に認められないことをバカにするなって。だって、最初は誰も認められていないんだから、それをやればいいと思いますよ。
ヨシナガ その一歩が、自分の未来を変えるんですもんね。

と、長々と引用しましたが、
私ごとですが、先月親父が倒れ、現在入院しています。それゆえ、実家のお袋や弟と顔を合わせる機会が増えたのですが・・・。
私の弟は現在30代。学生の頃から小説家になりたいと言っていたが、今だ一度も作品を書いたこともなく、就職もせず、免許も取らず、フリーターのまま実家に住んでいます。もちろん彼女もいないことでしょう。
そんなダメ男に愛の手を差し伸べようと、当ブログで執筆してみないかと誘ったのですが、言い訳ばかりして話にはのらず。その言い訳が、「書けるけど、やらない」というもの。書いたこともないのに書けるとは、これいかに。さすがの私もキレましたが。そんなことがあったので、今回引用した箇所が引っ掛かったわけです。
やらなきゃ始まらない。それは紙ではなくWEBという媒体だって、全然あり。ブログだって、メルマガだって、今ならTwitter小説なるものもあるのに。初めから完全なモノを発表できる人なんていないわけ。日々の積み重ねが、完成へと近づく唯一の方法なのに。
「もしこの記事を読んでくやしかったら変わってみろ!オレの鼻を明かしてみろ!オレをひざまずかしてみろ!明日からではなくて、今この瞬間から筆を取ってみろ!」
アフタヌーン新書 011 ハイブリッドワーカー 会社勤めしながらクリエイティブワークする
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by具太郎
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