大人になり切れない大人が読む本―子どもたちはなぜキレるのか 斎藤孝


子どもたちはなぜ「キレる」のか?

目次
第一章:「キレる」とは何か
第二章:「キレる」の裏に「ムカツク」がある
第三章:「がんばる」と「楽しむ」のあいだ
第四章:エネルギーを出し切って技に替える
第五章:戦後教育が見すごしたこと
第六章:<腰肚文化>を再生する
あとがきにかえてーある教育実践の試み

この本を著者が書いているのが、1999年のことだそうですが、今でも色褪せない内容だと感じます。
いわゆる「キレる」というテーマに対して、<腰肚文化>というキーワードを元に書かれているその視点が、私にはとても新鮮に映りました。
昔は、って私も生まれる前なんかは大家族で子どもも何人もいて、親だって、そんなに子どものことなんかに構っていられなかったはずで、子どもも、自分の生き方や身の振り方を自然と身につける必要があったのではないかと推測します。
でも、今は少子化という言葉が走っているように、核家族化、一人っ子とか兄弟の少ない子どもが多くなって、どうしたって、親があれこれ手を出す環境になってしまっています。
頭では分かっているんですが、どうしても時間がないときなんかは、洋服の着替えとか、手伝っちゃったりしますもんね。なるべく自分でさせなきゃって思うのですが(汗)
そんな環境が、著書でいう<腰肚文化>が育たなくなった原因の一つなのではないかと感じました。
「肚をくくる」とか、「腰がすわる」とか、何か、どっしりとしたものが生きていく上では必要なのではないかと思います。
世に出ている著書では、「自分軸」なんて呼び方もしているのでしょうが、腰を据えることができる、自分をしっかり持っている人が、そんなに「キレる」ことはないんじゃないでしょうか。だって、「キレる」必要がないですもんね。
この著書は、子どもたちがなんで「キレる」のかをテーマにしていますが、全くもって、現代を生きるビジネスパーソンにも言えることだと思います。
理不尽なことがあると、すぐに声を荒げる人。納得いかないと、憮然とした態度で耳を貸さない人。全くいうことを聞いてくれない上司。やる気のない部下、などなど。
<腰肚文化>の再生をここであげていますが、それは、子どもに特化したものではなく大人にも言えることだと思います。
自分の方向性、進むべき道、目標がしっかりとしていれば、多少のことがあろうとも、「キレる」ことはないんじゃないかなぁ。そんな風に感じました。
昨今、「教育」というのは大きなテーマになっていると思います。習い事にたくさん通わせている親御さんもいらっしゃると聞いていますが、本当に大切なこと、<腰肚文化>をしっかりと自分でも身につけ、次世代を担う子どもたちに伝えていきたいと思います。
人生は、なるようになるのではなく、自分で決めて、そこに向かって突き進んでいくものだと思いますね。
子どもたちはなぜキレるのか (ちくま新書)
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byゴリクン。
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