会社のキャッシュフローが見えてくる―財務3表一体分析法 「経営」が分かる決算書の読み方 國貞 克則


タイトルはいまいち冴えないものの、それに反してピカイチの内容である.
財務3表といえば、バランスシート(BS)、損益計算書(PL)、キャッシュフロー(CS)のことである. これらを理解するためには専門知識を身につける必要があるのだろう、と以前の私は思っていた. しかし、前作の『財務3表一体理解法』を読んだとき、いとも簡単に財務諸表を理解することができた.
この前作をさらにパワーアップさせたのが本作である. 財務諸表を図で表現し、直感的にこれらを理解できるよう工夫されている. 仕訳の仕方や財務諸表の書き方といった簿記の専門知識は特に必要ない. 会計の大筋を理解したいという人に大変オススメな本である.

目次
第1章 財務分析の基本ポイントを知ろう
第2章 まず会社の状況をザックリつかもう 〜基礎編
第3章 多くの財務3表を見てセンスを磨こう 〜ドリル編
第4章 実際に図表を作ってみよう 〜作図マニュアル編
第5章 より理解を深めるための補足

会社の活動は、(1)お金を集め、(2)それを投資し、(3)利益をあげる、という3つのステップを通して行われる. これが理解できれば、財務諸表を分析することは容易である.
まず、お金を集めるには、銀行などからお金を借りるいわば借金をして集めるか、株式を発行して自己資金を集めるかの2通りの方法がある. 借金が増えれば大きな利益を生み出す可能性があるものの倒産リスクも高くなる. 次に、この集めたお金を投資して売り上げに変える. 最後に、この売り上げのうち必要経費を差し引いて、利益を得る. このときポイントとなるのが、どの程度リスクをおかして(借金して)利益を得るかである.このリスクの取り方は、業種によっても違うし経営方針によっても違う. それらは財務諸表に書いてある. ここでの解説を読むと、そのことがよく分かる.
この本の内容に関しては、よくまとまっていて大変すばらしく非の打ち所がない. しかし、名著の仲間入りするにはどうしてもひとつ足りないものがある. 門外漢の私でも実におしいと思う. それは、タイトルである. 改めて前作と本作のタイトルを並べて書いてみる.

前作:財務3表一体理解法
本作:財務3表一体分析法

悲しいかな、これじゃどちらが新作だかパッと見ただけでは分からない. 実際に私は新作が出たことに全く気づかなくて、本の前を何度も通り過ぎてしまった. しかも漢字ばかりで、声に出して読むとなんだか舌を噛みそうである.
1ファンとしては、もしロングセラーを望むなら、頼むからネーミングだけはせめてもうチョットなんとかして欲しいと切に願う今日この頃である. あやうく同じ本を2冊購入するところでした.
財務3表一体分析法 「経営」がわかる決算書の読み方 (朝日新書)
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bylhflux
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