人生をムダに生きる方法―ネトゲ廃人 芦崎治

ネトゲ廃人
ネトゲ廃人芦崎治

リーダーズノート 2009-05-01
売り上げランキング : 1122

おすすめ平均 star
star廃になった人々
starお金をドブに捨てるようなものです。
star廃人一歩手前の、子どもや恋人を理解するために

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

昔の話。
私は、当時部下の一人だった女性に誘われて、ネットゲームを始めたことがあります。元々、ゲームは嫌いではなかったのですが、それでも年に1本か2本買う程度。さらに昔、もっと若いころにはそれなりに数をこなしましたが、結局どのゲームも興奮するのは初めだけ。いつも時間がたつと決まり切った単調な展開に飽きがきて、床に放り投げるような状態でした。
そんな気持ちにある中誘われたネットゲーム。もっとも私の頭の中には、そんな選択肢などないので、即拒否です。それどころか、ネットゲームなんてやるヤツは「オタク」だと、半分軽蔑していました。
ところがです。数か月後にはモニターの前から動かない生活が、私を待っているのでした。
今考えてみても、どのような心境の変化でやり始めたのか、全く覚えていません。おそらく退屈な日常に変化を求めていたのか、ちょっと視野を広げてみようと思ったのか、、、、完全に忘れました。
私が始めたネットゲームは、MMORPG(多人数同時参加型オンラインRPG)の「ファイナルファンタジー11」でした。「ファイナルファンタジー」シリーズは、過去に何作品か経験していたので、割とハードルが低くすんなりと入りこめたのかもしれません。また、知りあいがいたというのも大きいでしょう。
そんな私を待ち受けていた「ファイナルファンタジー11」の世界とは・・・
一言で言うと、私が生きられる世界がもう一つ増えたかのようでした。そしてそれは、消して現実に劣る世界ではなかったのです。
普通のゲームならば、いくらリアルな映像や創りであっても、それはあくまでもヴァーチャルな世界。決められた道筋があり、そこを辿っていく作業であることには変わりありません。
しかし、「ファイナルファンタジー11」の世界は違いました。
森羅万象、全ての形あるものから息遣いが感じられました。
雨が降り、風も吹き、そして日差しが強く、そんな様々な天候が、決して同じ景色を作り出しませんでした。
町には住民が住み、冒険者が走り回り、賑わっている時、閑散としている時、それはまさに現実と同じでした。
そして、命の通った冒険者たちと歩く異国の地は、本当に本当に冒険をしているようでした。
これが本当にゲームなのかと疑った時もありました。
一日中、死ぬまでできれば幸せだと思う時もありました。



しかし、もう戻りたくありません。あの世界に。
というのも、結婚生活で最大のピンチが訪れたからです。
普通、一家の大黒柱が、家にいるときはいつも部屋に閉じこもって、ゲームをしていたらなんて思うでしょう。飯を食べる時、風呂に入るとき、寝るとき、その時だけ顔を出して、用を済ませたらすぐに「ログイン」。まぁ想像はつくでしょう。
しかし私も、ゲームにハマりにハマっていたので、我慢できるような状態ではありませんでした。もちろん辞めることも。
そこで考えた私は、ヨメも巻き込むことにしました。
元々「ファイナルファンタジー11」は、グラフィックはきれいで、キャラクターもかわいいので、女性のユーザーが多いゲームです。私はパソコンを用意し、ソフトも購入し、完全に誘い込む段取りを進めていきました。
そして、私の計画通りヨメもネットゲームの世界にハマっていったのでした。
こうなると強いものです。家庭のことは二人で協力・分担して、効率的に終わらせ、一緒に「ログイン」出来るようにしました。ゲームの世界の仲間には、夫婦であることは内緒にしていたので、それがまたスリル感があり楽しく遊んでいました。
そして何だかんだ言って、2年ぐらい過ぎたころでしょうか。
私は一身上の都合で、当時の会社を退職することとなったのです。しかも次の転職先を見つけないまま。
ここからが私の下り坂の人生が始まりました。
収入がなくなり生活できないことを肌身に感じているヨメ。何とかなるだろと高を括っているオレ。こんなふたりの意識のギャップから、徐々に戦争が起こるのでした。
さて、この辺の修羅場は省かせて頂きますが、今では無事に幸せな家庭を築いております。
私は当時の経験による反省から、人生について真面目に考えるようになり、勉強する生活を選びました。
ということで、本日はビジネス書ではないですが、どうしても記事にしたかったのでご紹介しました。

ネトゲ」とは、いわゆるネットゲーム(オンラインゲーム)のこと。
「廃人」とは、特定の趣味に没頭するあまり日常生活に支障をきたしてしまうような状態の人のこと。
そして「ネトゲ廃人」とは、私のこと。

今回は私の人生の汚点の一つを記事にしましたが、絶対忘れてはならないことなので、ここにメモしておきます。
リアルな人生に行き詰ったらぜひ遊んでみてください。どう転ぶかはあなた次第ですが、ハマったら何かが変わるかもしれませんよ。私は責任を持てませんが・・・。
【編集後記】
と、こんな記事を書いた後でなんですが、「ドラクエ9」買いました。只今レベル10です。
やっぱ「ドラクエ」は鉄板だね。Amazonレビューの酷評は見ものです!

ドラゴンクエストIX 星空の守り人ドラゴンクエストIX 星空の守り人

by G-Tools

にほんブログ村 本ブログ ビジネス書へ