なぜマネジメントが壁に突き当たるのか 田坂広志

なぜマネジメントが壁に突き当たるのか―成長するマネジャー12の心得
なぜマネジメントが壁に突き当たるのか―成長するマネジャー12の心得田坂 広志

東洋経済新報社 2002-04
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おすすめ平均 star
starマネジメントを暗黙知の観点で語る
starつかみどころが無いようにかんじました
star論理思考では割り切れないマネジメントがある

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「部下が思うように動いてくれない」
「丁寧に教えてもなかなか覚えてくれない」
「やる気があるのかどうかわからない」
「叱ってもダメ、褒めてもダメ」
なんて悩みは、マネジャーの皆さんなら一つや二つ心当たりがあるでしょう。もしかしたら、いま現在も悩んでいるかもしれませんね。
そんなあなたに朗報です!すでにご存知かもしれませんが、田坂広志さんがあなたの悩みを解決してくれます。もちろん部下との接し方だけでなく、マネジャーとして日々ぶつかる仕事上の問題も、併せて解決してくれます。
以前に読んだ『なぜ、我々はマネジメントの道を歩むのか』に匹敵する良書。久々にマインドマップ(モドキ)を駆使して頭に叩き込んだ、身になる内容です。ぜひ、マネジャー職に就かれている方はご一読下さい!
以下、個人的まとメモ。

1.なぜ「論理的」な人間が社内を説得できないのか?
論理は「単純化」である。反して、企業などの生きているものは「複雑系」である。従って、論理だけでは解決できない。「複雑系」の裏にある「直観力・洞察力」がキモ。

2.なぜマネジメントにおける「直観力」が身につかないのか?
論理思考によって考え抜いたその先に「大局観」がある。その「大局観」の世界にあるのが「直観力・洞察力」である。それは自然に身についているものであり、大切なのは「徹する」ことである。

3.なぜ「原因究明」によって問題を解決できないのか?
「原因究明」=「責任転嫁」=「直線構造」である。「複雑系」である企業は、「直線構造」でなく「循環構造」であるため、一般的な「問題解決法」では解決できない。

4.なぜ「矛盾」を安易に解決してはならないのか?
「矛盾」を安易に解決するためには「割り切り」が必要である。その「割り切り」は「楽」の道である。本当に大切なのは「腹決め」であり、「矛盾」との対峙による「バランス」取りである。

5.なぜ「多数」が賛成する案が成功を保証しないのか?
複雑系」である企業において大切なのは、集団の分析力や推理力ではなく、優れた個人の直観力や洞察力である。「勘が鋭い」「腹がすわっている」「言葉に力がある」

6.なぜ成功するマネジメントは「完璧主義」に見えるのか?
完璧主義は「細やか」な人、瑣末主義は「細かい」人のこと。人間の「こころの生態系」も企業と同じ「複雑系」である。

7.なぜ「成功者」を模倣することができないのか?
普遍的な成功法則は存在しないため。成功とは常に「個性的」であり、一人ひとりの成功法則は違う。「成功の方法のための方法」=「体験の方法」を教えるのが、マネジャーの役割である。

8.なぜ「経験」だけでは仕事に熟達できないのか?
「経験」はしても「体験」はしていない。ここで重要なのが「問題意識」と「仮説力」。そして、「集中力」である。

9.なぜ「ベスト・チーム」が必ずしも成功しないのか?
「ベスト・チーム」とは、無意識に組織を機械のように設計している行為。相性(ケミストリー)を考えなければならない。人間との格闘である。

10.なぜ「動かそう」とする部下は動かないのか?
「操作主義」は、気配りの奥に密やかな計算が見えるため、心の底から部下は動かない。部下が動いて見えるのは、精神的に未熟であったり、権力追随的であったり、打算的であったりするため。自分の「エゴ」を認識しながら「共感」を得る。「聞く」ではなく「聞き届け」。

11.なぜ「教育」しても部下が成長しないのか?
「育てる」ことは出来ない、「育つ」方法を提供する。「こころの姿勢」「成長の目標」「成長の場を創る」
マネジャーの役割は、自分自身が「何を学ぼうとしているか」を見せる。

12.なぜ「優秀な上司」の下で部下が育たないのか?
「名監督ならず」「優秀すぎる」「部下の成長を望んでいない」

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