小説で起業のイメージを掴む―東大を出ると社長になれない 水指丈夫


経済学的な視点で起業を考えるのに最適な本である。
日経ビジネスのコラムで経済学的な思考の雰囲気を掴むためにと飯田泰之氏が本書を紹介していた。タイトルからはイメージしにくいが、経済学を小説風に紹介するという一風変わった構成である。また、本の表紙を見る限りでは、漫画風でなんとなくナンパで萌え系なイメージを彷彿とさせる。小説として読もうとするとイマイチではあるものの、経済学としての内容はしっかりとしている。特に起業家を目指す人のための本としては実践的で大変おもしろい。

目次
第1章: 相談料はヴーヴクリコ1本なり!
第2章: 杏奈は国際派ビジネスパーソン
第3章: 文房具をうらない文房具点
第4章: 東大を出ると社長になれない
第5章: ガールズ・オブ・ブルーオーシャン
第6章: サービスは客のためならず
第7章: エンディングの日は突然に!?

この本では、起業して実際に経営するまでの流れをストーリーで紹介している。 ところどころに専門的な解説が入り、主人公がとった感覚的な行動を理論的に説明する。 タイトルにある、東大を出ると社長になれない、というのも経済学的なマクロな視点にたつとそのように言えるだけで(ここでは機会費用で説明している)、ある一人の東大出身者がそうだとはいっていないところがポイントである。 経済や起業について、ある程度知識を得てから読むと、実践的な感覚をつかむのにすごく参考になる。
経済学を小説風に紹介する利点は、その小説の登場人物になりきって経済学的な思考を疑似体験できるところにあると思う。この本では、いろんな人から問題提起が起こり、その答えについて考察するという構成になっている。そのため、問題提起が起こるたびに自分ならどうするか、とまず考えてみると、その後にくる解説がよく理解できるようになる。学んだことを使ってみて始めて理解できる、これぞまさに孔子がいう、"学び時にこれを習う、また悦ばしからずや。(論語の学而第一より)"ではなかろうか。と、知的な雰囲気で締めくくってみる。
東大を出ると社長になれない (講談社BIZ)
4062821109


bylhflux
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