あなたもなれるアントレプレナー―凡人起業 「カリスマ経営者」は見習うな! 多田正幸

凡人起業―「カリスマ経営者」は見習うな! (新潮新書)
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われわれ凡人でも起業で成功できる、そう思わせてくれる本に出会った。
書店をぶらぶらと歩いていたある日のこと。思わずこの本のタイトルをみた瞬間に衝動買いしてしまった。起業を夢見る私にとっては、非常にシンプルでかつそそられるタイトルである。 中身をみずとも、タイトルだけから"われわれ凡人でも起業できるのだ"という熱い想いが勝手に伝わってきた。起業関係の本を読んでいると、成功するためには優秀な人材が必要だとか、自分の並外れた才能があったお陰で成功できたとか、そんな話がけっこう多い。しかしこの本では、そういったいわゆる天才ではなく、一般人が起業を成功させるためのポイントを特に中小企業の社長を例に解説している。

目次
序章 嫌がる社員を慰安旅行に連れて行く
第1章 「独立開業本」に、必要な情報はない
第2章 必要な情報へのたどり着き方
第3章 「業界の不思議」を見極める
第4章 「経営」という言葉に酔うな!
第5章 税理士に経営指導を仰がない
第6章 実際の社長さんはこんな人たち
終章 私の反省

それでは、起業を成功させるためにもっとも大切なことは何か。
この本によれば、それは"ビジネスモデルをしっかりと描くこと"である。こう聞くと、どの本にも書いてありそうなすごく当たり前のことを言っているだけだと思ってしまう。しかし、そうあまく見てしまうことが、起業を失敗させる原因になると、起業に失敗した経験をもつ著者は警告する。
例えば、よいアイデアを思いつき、そのアイデアに基づいて大ヒット間違いなしの商品を考えたとしよう。 これでビジネスモデルが完成したと思うのは間違いである。 この本では、そういったアイデア商品を考案するのではなく、その商品をどこでどれだけ仕入れて、誰に売れば、どれだけの利益が得られるかをしっかりと計画することが、ビジネスモデルであると言っている。 逆にいえば、よいアイデアを思いつくよりも、流通経路をしっかりと確保することの方がよっぽどビジネスになるともいえる。 そしてその流通経路を見つけることが最も難しく、成功している中小企業の社長たちは試行錯誤を繰り返しながら"どこから仕入れ、どこに売れば、利益が得られるか"という情報を得ているのである。
この本で言われていることは、非常にシンプルで分かりやすい。それでいて、核心をついていると思う。起業するためにまずやるべきことが見えてきた、そんな本であった。


bylhflux
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